何年後かに酒のアテにする話。

人生は思いの外、ドラマチック

お酒と一緒に楽しむちょっとしたおつまみのことを
関西では「アテ」というのだけれど、
どうやら関東では通じない方言だった。
という話をつい先日聞いた。
そのまま「ほる」とか「なおす」やらの
通じる通じないの方言の話になって、
ちょっと懐かしくも感じた。
やっぱり日本語はおもしろいな。と思う。








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半年ぶりに突然連絡をしてきたのは
少し年下の、私とよく似た感覚を持っている女の子だった。
こちらに遊びに来たいという内容の
メッセージだったけれど、何となく違和感を覚えた。
仕事中の彼女はスーパーで買い物中の私に
「お昼休憩の時間にお電話します★!」
明るい文面を送信してきた。
数十分後にかかってきた電話口の向こう側の彼女の声は
いつもより早口で、
その音にのる波動はあまりも重くるしいものだった。








そんな彼女は何年か前の私にそっくりで、
彼女より数年長く生きている私には
その感覚を酷く理解できた。
自分じゃ、どうにもできないような混沌を
どうにかしてほしい。助けてほしい。と。
誰か、お願いだから、共感してほしい。と。
きっと彼女の限界は近い、
もしくは崩壊してる可能性が高い。






確かに自分の中の混沌を誰かと共感すると、
少しだけ、救われたような気分になる。
私にもその経験があるからこそ、
彼女のSOSは痛いほど理解できた。
ただ、その救いは残念なことに
瞬間的な癒しにしかなることはない。
一時的に救済されたとしても、
途方もなく壮大なその壁は、
しばらく時間を置いて、また、
自身のもとに表情を変えず、
本質を突き刺すようにぶつかってくる。



「それは依存と大差ないから、

 自分で何とかしないと、

 どうにもならないよ。」




「最近泣いてる?」




「それ、誰かのために行動してない?」




「そこで、逃げるの?

 逃げてるってわかってるんだよね? 

 じゃあ、次はどうするの?」




「今、君にあたしがこういうのは、

 君にそれができるのが解ってるからだよ。」




「まずは、自分のために生きることを、

 許してあげることを

 はじめないとダメじゃないかな?」




「大丈夫じゃないのは知ってるから、

 大丈夫?なんて言わないし、

 あたしは、じゃあ、この電話切ったら、

 君は何をするの?としか、聞かないよ?」




しんどくてしんどくて、
どうしようもなくなった彼女に、
今一番言われたくないだろう言葉を
浴びせまくって、
さらに最後にこう言って電話を切った。


「電話を切ってから、もう一回、

 思いっきり泣くんだよ。

 電話越しに意味わからん言葉

 投げつけられて、腹立って、

 あたしのことを嫌いになってもいいから。

 じゃ、電話切るね。」




この話を、アテに何年か後にできることを祈って。










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彼女のとのそんなやりとりから約1年、
そして今日、その彼女から
次のステージを見つけることができました☆!」
との連絡が入った。どうやら彼女は
例の壁を受け入れることができたらしい。
私はあの頃から、少しは変わることができたのだろうか。
どうだろう、きっと私には解からないのだろうな。




その、次のステージとやらを聞くために
私は彼女とは居酒屋に行く約束をする。




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元ネタ

何年後かに酒のアテにする話。|ハシモトミナ。|note
「お昼休憩の時間にお電話します★!」 明るい文面とは裏腹に、 かかってきた電話口の向こう側の彼女の声は いつもより早口で、その音にのる波動は あまりも重くるしいものだった。 彼女は何年か前の私にそっくりで、 彼女より幾分か長く生きている私には その感覚を酷く理解できた...
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